ブリティッシュ・エアウェイズ・ヘリテージ・センターの楽しみ方

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前回まではヒースロー空港周辺の飛行機スポッティングエリアの紹介を3回に渡りお届けしたが、今回はヒースロー近くにあるBritish Airways/ブリティッシュ・エアウェイズ・ヘリテージ・センターについて皆さんに紹介させていただこう。

過去3回の連載はこちらから ↓ ↓ ↓

・27L着陸時のスポッティング場所
https://www.absolute-london.co.uk/people/travel/heathrow/48658

・ヒースロー空港周辺のスポッティング場所:27R 着陸時&27L 離陸時
https://www.absolute-london.co.uk/people/travel/heathrow/48856

・ヒースロー空港周辺のスポッティング場所:東風運行のスポットを楽しむ
https://www.absolute-london.co.uk/people/travel/heathrow/49078

 

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British Airways/ブリティッシュ・エアウェイズ・ヘリテージ・センターとは?

1919年8月25日に、Aircraft Transport and Travel LimitedがDe Havilland DH4A 機に一人の乗客を乗せ、ミドルセックス州のハウンズロー(Hounslow) からパリ北部のル・ブルジェ (Le Bourget)まで、世界初の定期国際旅客サービスの運行を始めた当初の歴史の展示から幕が開く。

De Havilland DH4A 機のモデルやルート、時刻表等の資料

ブリティッシュ・エアウェイズの前身であるBOAC /英国海外航空( British Overseas Airways Corporation)、BEA/英国欧州航空( British European Airways)、BSAA/英国南アメリカ航空(British South American Airways)、戦前のインペリアル・エアウェイズ・リミテッド(Imperial Airways Limited)、そしてブリティッシュ・エアウェイズ・リミテッド(British Airways Ltd)が築いてきた記録や遺産=ヘリテージ・コレクションを保存するために設立されたセンターであり、ブリティッシュ・エアウェイズの歴史をまさに「この目で」見ることができる施設である。

これらの遺産を「The British Airways Heritage Collection」と総称している。

インペリアル・エアウェイズ・リミテッド(Imperial Airways Limited)社のカルカッタ行きの豪華な機内の一部の写真

機内ミールの始まり?1927年 ロンドンーパリ間を就航した、Imperial Airways Silver Wing ラグジュアリーサービスの写真:乗客は特別料金(£1 )にてスチュワートによる機内ミールやバーのサービスを受ける事ができた。

南アフリカーロンドン行きのスケジュール in 1938:この時代はこの様に何ヶ所かにストップオーバーしながらの運行であった。

どんなものが展示されているの?

1919年の初の国際定期旅客サービスの運行時の記録から始まり、各時代や機種の特徴の説明や書類、航空機/機内の写真、サービスや運行状況などの膨大な記録など、あらゆる関連の品々が多数展示されている。

戦前の機種はもちろん、Super VC10(ビッカース VC10)、Hawker Siddeley HS-121 Trident 3B(ホーカー・シドレー トライデント3B)、Lockheed L-1011 TriStar(ロッキード L-1011 トライスター)、そしてConcorde(コンコルド)といった、今は退役してしまった数々の航空機の模型もある。

灰皿(そう、喫煙可能な時代もあったのだ)から、鞄、グラス、ソーダサイフォン、スティッカー、アメニティーセットなど、実際に使われてきた様々な小物等、昭和生まれの貴方であれば「おお、懐かしや」と思い出に浸れる品々も多い。

これらの品々にはスタッフや元同僚からの寄贈等が含まれるそうだ。

BOAC-CUNARD社 /British Overseas Airways Corporation-Cunard Limited のSuper VC10 モデル及び初のスーパーVC10機によるロンドン-ニューヨーク-バミューダ線に就航の記念品

BEA社 Hawker Siddeley HS-121 Trident 3B機のモデルと灰皿

コンコルド

コレクターにとっては喉から手が出るほど欲しくなるグッズ達も含まれる

歴史的な記録の宝庫

また、歴史的な記録がわかる展示も多数ある。例えば当時のエリザベス王女が、病にあった父ジョージ6世の代わりに英連邦歴訪を行った時の記録など。

 

ロイヤルフライトの記録としては、エリザベス王女が英連邦視察の最初の国であるケニアを公式訪問中、父ジョージ6世の悲報と自身の即位の知らせを受けた後に、視察を中止し英国に帰国する事になった当時の記録の一部もある。

 

部品や操縦席

退役となってしまった機種の部品や操縦桿から現役機種のシートなどといったものも置かれている。

前述したシルバーウィング ラグジュアリーフライトに使われていた椅子

操縦席と操縦桿

エコノミーシートからビジネス、ファーストクラスなどのシートもディスプレイされている

制服の移り変わり

面白いところでは客室乗務員の歴代の制服のコレクションも展示されている。

1955年〜1974年に運行されていた、BOAC /英国海外航空の英国ー日本線では、なんと着物でのサービスが行われていたそうである。

着物やサリーなど、民族衣装もユニフォームに

左:懐かしいなぁ。初めてBAに乗った時の思い出が蘇ります。右:これは1970年代ですね

一番新しい制服

様々な貴重なヘリテージ・コレクションが所狭しと陳列されている場所なのである。

何処にあるの?

ブリティッシュ・エアウェズの本社ビルの中にセンターがあります。

住所は:
The British Airways Heritage Centre
Waterside
Speedbird Way
Harmondsworth
Middlesex UB7 0GA

公式URL:
https://www.britishairways.com/content/information/about-ba/history-and-heritage

BA本社

 

誰でも訪れることができるの?

月曜日〜金曜日 オフィス営業時間(要確認)の間に、個人〜グループなど誰でも訪れることが可能である。

予約制:事前に希望の訪問日と時間を連絡し、予約を取ること。
*事前の予約がある場合を除き、週末と祝日は休みである
*一般見学は無料です(コレクション維持の為の寄付金はウェルカム)

 

訪問の流れ

①まずは訪問希望日&人数を電話あるいはメールにて問い合わせを行おう。

運営はボランティアさん方で行われている関係でメールの返事には1〜2日(平日)かかる場合もあるので余裕を持って問い合わせをすることをお勧めする。

電話: 020 8562 5777 / 5737
eメール: ba.1.museum@ba.com

②センターまでの行き方のお知らせ

訪問日時の予約確認メールには、センターがあるWatersideまでの行き方や訪問時の際の流れの案内が送られてきます。

駐車場はあるがその数に限りがあることから、ターミナル5から出ている「British Airways Staff Shuttle busesを利用してね」とシャトルバス利用の許可証の案内も一緒に送られてきます。

「スタッフ向けシャトルバスのドライバーに見せてね」と書かれていますが、自分の時は(予想通り)ドライバーは一瞥もせず、でしたが念の為当日までこのメールを保存しておこう。

③ビジターパスをもらう

本社ビルの受付にて訪問の目的を告げると、ビジターパスをもらえます。ボランティアの方が迎えに来てくれ、センター内に案内してくれます。

自分の時は2時間半ほど色々な(オタクな)話を楽しみながらゆっくりと回ったが、フライトの待ち時間などの間に来ている方々などは出発時間に合わせて短めの設定での案内もしてくれるので、時間がない方はその旨を伝えておこう。


入って早々大好きなBoeing747機種( B747-136)のアンダーキャリッジ (undercarriage)/着陸脚が迎えてくれ、興奮で鼻血が出そうになった自分である。

所狭しと色々なものがディスプレイされている

よく見ると、右側に社運隆昌の御守護が(笑)多くはないが本やポストカードなども扱っている。

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ボランティアの方々の航空機、航空関連の歴史の知識は非常に深く、とても親切かつ丁寧に色々な質問に答えてくださる。

飛行機好きはもちろん、歴史好きの方にも楽しんでいただける場所ではないであろうか?

在英の皆様はもちろんのこと、ヒースロー空港に立ち寄る予定がある旅行者/出張者の方にも気軽に立ち寄る事ができるので(*要予約)機会があれば是非とも訪れてみて欲しいものだ。

 

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リエコ・大島・バークレー。英国サリー州在住。薬草、毒草、ワイン、ゴルゴ13 をこよなく愛する飛行機オタク。海外出張が重なっていた8年ほど前に突然機内でエンジン音に恋に落ち、そこからすっかり飛行機の虜の人生となる。 本業はメディカルハーバリスト、アロマセラピスト、リフレクソロジスト。ロンドンのセラピールーム及び癌ケアセンターにてのセラピスト活動、オンライン及び日本での講座活動の他、時々イングリッシュワイン応援& 執筆活動も行う。 著書に『メディカルハーブハンドブック』(説話社)『ハーブの薬箱』(文化出発局)。フレグランスジャーナル社にて2023年まで『ゴルゴ13とハーブカード』連載。インスタグラム@herbalhealinguk

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