054 | サステイナビリティ

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あっという間に5月も後半となってしまいましたが、みなさんはその後も健康で充実した日々をお過ごしでしょうか。記事のアップロードが滞り気味となっている間も調査は続行中で、お届けしたいトピックは山積みとなる一方です。今号では、わたしたちの健康に大きく関わる環境問題と各自の取り組みなどについて取り上げ、その後は随時最新情報を軸に、安全や健康への影響と対策法などをカバーする予定です。

 

環境汚染は日々進行中

わたしたちの暮らす地球は、生態系のバランスが崩れて不健康な状態にあります(1)。腸内環境に例えると、健康に欠かせない善玉菌が、絶え間なく流れ込んみ対処しきれなった毒で姿を消し、その一方悪玉菌が破壊モードに入ってホストの命を左右しかねない、とういうような状況に相当します。

もちろん、不健康な地球に暮らしながら、人間だけが理想的な健康状態を維持するということはほぼ不可能です。例えば、031号と032号で取り上げたプラスチックの問題は、その後コロナの一連でさらに悪化し、大量に使われた不織布の使い捨てマスクや使い物にならないコロナテストのキットなどが、自然環境に暮らす小動物や魚たちへの影響悪化に加担しました(2,3)。目には見えませんが、028号、041号と043号で取り上げたワイヤレス・テクノロジーも、その後今までに浮上している問題への対処がないまま未知の電磁界領域に踏み込み、便利と引き換えに、人間のみならず昆虫や動植物、さらには細菌類を含めた生命体全般への影響が懸念されているようです(4,5,6,7)。

これらに加えて、生態系の破壊を進行させるものは年々増え続け、すでに数えきれないほど。ここにはリストしきれませんが、フッ素系化合物のペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)もその大きな問題の一つ。PFASは環境ホルモンとしても認識され、分解困難で汚染が継続するため「フォーエバー(永遠の)ケミカル」としても知られています(8)。身近なところではテフロン加工の鍋類や撥水加工の製品に使用され、あまり知られていないところではデンタルフロス、トイレットロールや生理用品などにも使用されています。また、遺伝子組み換えの問題(9)を飛び越えて開発が進む、合成生物学(シンセティック・バイオロジー/Synthetic biology、「シンバイオ/Synbio」としても知られる)を取り入れ、特定のタンパク質を合成するように遺伝子を組み換えた細菌からできた動物性食品の代用品など(10,11)、安全面や長期のデータに欠けることと倫理面でも疑問点が浮上しています。

これらはリサーチ資金の援助やマーケティングのバックアップによって操作されているため(12)、大手メディアでは全面的に素晴らしいこととして取り上げられているという印象を受けています。その一方、実態を知る専門家や一般消費者層による安全確認要請の声が強まっていますが、残念ながら前述の理由により彼らの訴えが表面化するのは稀です。

 

個人レベルの自然環境保護ケアもお忘れなく。

 

各自の取り組みが必要

環境汚染に関わる最も大きな問題点は、利益のために一般市民の健康を脅かしたり自然や生態系の破壊を進行させている企業や、経済的癒着によってそれを許している各国の政府などにあるといえるでしょう。ただし、これらの企業による商品やサービスを盲目的に受け入れているわたしたちも、悪化の継続に加担していることになります。

真のサステイナビリティ(持続可能性)をサポートするなら、現在向かっている方向とは別方向に進み始める必要があるかもしれません。自分たちの安全や環境改善を望みながらもニュースや雑誌の内容を鵜呑みにしているなら、自らがファクトチェッカーになり、定期的なリアリティ・チェックを行うことに加え、その都度認識のアップグレードを行うのが理想的です。

なぜかは以前にもお伝えしましたが、大手メディア経由では本当のことがわからないどころか、気づかないまま言葉どおり軍事レベルのマインド・コントロールで誘導されるからです。マイノリティであるオルタナティブ・メディア系の配信も、決してどれもが真実を伝える有効な情報源になるとは限りません。特に世界的に知られるエキスパートには、意図して偽りの情報でわたしたちをナビゲートしている人たちもかなりいるため、注意が必要だということも明らかとなりました。日々の調べ物は結構大変だと感じつつ、それがわたし個人にとって情報源の見極め方を学ぶプロセスにもなっています。

 

各個人のサステイナビリティ

サステイナビリティを合言葉に現在進行している消費削減計画の数々。これらには、真のサステイナビリティからずれているものが多いという印象を受けていますが、どうやら気のせいではなさそうです(13,14,15)。環境問題も含めて辻褄が合わないと思うことも結構あるので、追って取り上げる予定です。

環境汚染による影響を完全に避けることは不可能ですが、わたしたちに備わっている解毒や防御の機能が最大限に働くように健康をサポートすることは可能です。環境はもちろんですが、まずは自分たちがサステイナビリティに取り組む体制でいることもお忘れなく。具体的な対策は、日頃から負担になることを少なくしておくことで、これは039号で取り上げたアロスタシス(動的適応能)とホメオスタシス(恒常性)のバランスとも大きく関係します。

ありとあらゆる体への負担が入る「毒素のバケツ」を可能な限り埋めないようにすれば、追加の負担が加わっても対応できる体内環境を維持することができます。地球が抱える毒素のバケツは溢れ気味となっているので、自分たちと環境の健康を支えることを意識して選び、両方を同時にサポートするアクテビティを取り入れるのが理想的ではないでしょうか。

参照:

  1. Lebedev, A. T., & Richardson, S. D. (2022). Planet Contamination with Chemical Compounds. Molecules (Basel, Switzerland), 27(5), 1621. https://doi.org/10.3390/molecules27051621
  2. Peng, Y., Wu, P., Schartup, A. T., & Zhang, Y. (2021). Plastic waste release caused by COVID-19 and its fate in the global ocean. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 118(47), e2111530118. https://doi.org/10.1073/pnas.2111530118
  3. Ziani, K., Ioniță-Mîndrican, C. B., Mititelu, M., Neacșu, S. M., Negrei, C., Moroșan, E., Drăgănescu, D., & Preda, O. T. (2023). Microplastics: A Real Global Threat for Environment and Food Safety: A State of the Art Review. Nutrients, 15(3), 617. https://doi.org/10.3390/nu15030617
  4. McCredden, J. E., Weller, S., & Leach, V. (2023). The assumption of safety is being used to justify the rollout of 5G technologies. Frontiers in public health, 11, 1058454. https://doi.org/10.3389/fpubh.2023.1058454
  5. Bandara, P., & Carpenter, D. O. (2018). Planetary electromagnetic pollution: it is time to assess its impact. The Lancet. Planetary health, 2(12), e512–e514. https://doi.org/10.1016/S2542-5196(18)30221-3
  6. Nguyen, T. H., Pham, V. T., Nguyen, S. H., Baulin, V., Croft, R. J., Phillips, B., Crawford, R. J., & Ivanova, E. P. (2016). The Bioeffects Resulting from Prokaryotic Cells and Yeast Being Exposed to an 18 GHz Electromagnetic Field. PloS one, 11(7), e0158135. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0158135
  7. Nguyen, T. H., Shamis, Y., Croft, R. J., Wood, A., McIntosh, R. L., Crawford, R. J., & Ivanova, E. P. (2015). 18 GHz electromagnetic field induces permeability of Gram-positive cocci. Scientific reports, 5, 10980. https://doi.org/10.1038/srep10980
  8. Fenton, S. E., Ducatman, A., Boobis, A., DeWitt, J. C., Lau, C., Ng, C., Smith, J. S., & Roberts, S. M. (2021). Per- and Polyfluoroalkyl Substance Toxicity and Human Health Review: Current State of Knowledge and Strategies for Informing Future Research. Environmental toxicology and chemistry, 40(3), 606–630. https://doi.org/10.1002/etc.4890
  9. Séralini, G. E., Mesnage, R., Defarge, N., & Spiroux de Vendômois, J. (2014). Conflicts of interests, confidentiality and censorship in health risk assessment: the example of an herbicide and a GMO. Environmental sciences Europe, 26(1), 13. https://doi.org/10.1186/s12302-014-0013-6
  10. Life Site News. (2023), ‘Bill Gates-backed companies approved to sell ‘lab-grown’ chicken in the US’. Available at: https://www.lifesitenews.com/news/bill-gates-backed-companies-approved-to-sell-lab-grown-chicken-in-the-us/ (Accessed: 04/07/2023)
  11. Food Business News. (2023). ‘Three issues arise in animal-free dairy’. Available at: https://www.foodbusinessnews.net/articles/24918-three-issues-arise-in-animal-free-dairy (Accessed: 04/11/2023)
  12. Levich, Jacob. (2015). The Gates Foundation, Ebola, and Global Health Imperialism. American Journal of Economics and Sociology. 74. 704. 10.1111/ajes.12110.
  13. Green Finance Observatory. (2022). ‘Nature Must be Protected from the “Nature Positive Economy” – Open Letter to the WWF, World Economic Forum, Convention on Biological Diversity & European Commission’. Available at: https://greenfinanceobservatory.org/wp-content/uploads/2022/11/openletternaturepositive-final-3.pdf (Accessed: 12/01/2023)
  14. C40 Cities. (2019). ‘The Future of Urban Consumption in a 1.5℃ World’. Available at: https://www.c40knowledgehub.org/s/article/The-future-of-urban-consumption-in-a-1-5-C-world?language=en_US (Accessed: 23/04/2022)
  15. Allwood, J., et al. (2019). Absolute Zero. Apollo – University of Cambridge Repository. https://doi.org/10.17863/CAM.46075. https://www.repository.cam.ac.uk/handle/1810/299414
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About Author

大阪府出身、1996年よりロンドン在住。ナチュロパス、ファンクショナル・メディスン・プラクティショナー、ニュートリショナル・セラピスト(mBANT, CNHCreg, mCHP, CFMP)。ハックニー地区にあるコンプリメンタリー・ヘルス・クリニックと並行して、オンライン・クリニックでも活動中。好きなこと:健康的でおいしいものを作って食べること、ナチュラル・ヘルス・フード・ストアでヒット商品を探すこと。好きな色:ピンク紫(夕暮れ時の空の色とか)。好きな言葉:(実現の状態を)見る前に信じること(”You’ll see it when you believe it.” by Wayne Dyer)。

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