「辻仁成 x 武本英之 = 2G z」4/19 ロンドン公演間近の Hidè にインタビュー!  

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辻仁成 x 武本英之「2Gz」4/19 ロンドン公演目前!

1960年代、ボブ・ディランが英国初ライブを行い、オアシスのロンドン・デビュー公演が行われた伝説のライブ・ハウスで、出来たてほやほやのユニットが、4月19日に華々しいデビューを飾る。
 
辻仁成 x 武本英之のユニット、2Gz だ。

ギター1本でロンドンを拠点にずっと音楽活動を続けている武本英之 / Hidè Takemto。「マジック・フィンガー」と賞賛される指さばきで楽しそうにギターを操るHidèさんは、意思のある研ぎ澄まされたサウンドと、謎のアルカイック・スマイルがトレードマーク。

英国ではリラックスした態度でいることを「Laid-backしている」と言い、そんな余裕をかました人のことを「Laid-backしたヤツ」と言うのだが、Hidèさんほど常にレイドバックしている人を、私は知らない。いや、本当にまったく、最高にいい意味で。

そんな器が今、日本のロック史に残る巨星、辻仁成さんとユニットを組み、「2Gz」として活動を開始した。

え!? どうしてパリの辻仁成さんと!?

そんな疑問、あんな疑問のすべてに答えてもらうべく、武本英之に聞いてみた。

ロンドン公演直前、Hidèさん直撃インタビュー!(聞き手:江國まゆ)

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どういう経緯でデュオを組むことに?

辻さんが昨年パリ公演を大成功させた後、ロンドンでも同じバンドでライブをされたのですが、僕は「辻仁成ファン歴」がほぼ辻さんのキャリアと重なる友人Aと一緒に、そのライブに足を運びました。ライブ後、辻さんがくつろがれているラウンジへ友人と一緒にご挨拶に行き、そこで初めて言葉を交わしました。

この友人Aが、ありがたいことに辻さんに連絡するように背中を押してくれたんです。そして驚いたことに、すぐに辻さん側からご返事をいただき、「実はロンドンでは今度はソロでやろうと思っていたんだけど、良かったら一緒にやらない?」と打診していただいて。

心臓が飛び出そうなほど嬉しかった。でも、どう返事を書こうか一日悩みました(笑)。もちろん、翌日には正直に「ぜひ!」とお返事しました。その後はトントン拍子で話が進みましたが、そう感じていたのはもしかしたら僕らだけで、辻さんが主宰されているウェブメディア「Design Stories」の数々の記事を読まれると、辻さんサイドの物語もよくお分かりいただけると思います。

ライブの場所などはHidèさんが手配を?

今回は皆に助けられっぱなしで、プロモーターの別の友人の協力を得て、ロンドンにおける伝説のライブハウスでもある「The Water Rats」をご提案し、辻さん、マネージャーさん、僕サイドの仲間の5名で話し合ってすぐに会場と日にちが決まりました。その際、「2Gz」というユニット名も皆で話し合って決めました。昨年11月頃のことです。

「2つのギター」と「Tsuji」を掛け合わせた名前ですね。

そうですね。3Gでも5Gでもなく、2Gで。コンセプトとしては、スローでアコースティックな感じにしようという意味も込められています。

パリとロンドン。離れているお二人はどのように交流しているの?

主にWhatsAppですね。互いにデモを送り合って、すり合わせる作業をずっとやっています。アレンジについて話し合ったり、互いにアイディアを交換したりしながら・・・これは本当に刺激的です。実はそんな交流が本格化する前、最初の音合わせのためにパリに出向いたとき、見えていなかった現実や違いが浮き彫りになり、互いに何ができるのかを真剣に考えるきっかけになりました。

違いというのは、具体的に言うと?

僕たち、髪型と帽子とギターを弾くところはソックリなんですけど(笑)、音楽的には正反対であることに気づきました。

辻さんのほうは、ギターはまったくの独学。誰にも教わったことがない究極の自己流です。僕はと言えば19歳の頃から藤井敬吾氏に師事してクラッシック・ギターを学び、英国の音楽大学で勉強を続けたので、いつもマエストロのような人に付いて学んできたわけです。

それはもう、まるで違う国から来た人みたいな感じです。奏法が違うだけでなく、ふだん使っているギター用語とか、バンド用語とかも微妙に違うんです。パリの顔合わせリハでは、その全てがまず明るみに出ました。噛み合わないもどかしさはありましたが、かえって互いの「違い」がわかって良かったなと、今振り返ってそう思います。僕自身もこれまで多くの方と一緒に音楽をやってきましたが、今回はかなり勝手が違ったとだけ、お話ししておきます。

そんな辻さんのギターをどう感じる?

伝える力がすごい! 彼は喋るみたいにギターを弾いて歌を歌う。ギターが辻さんの思いをそのまま伝えているんです。カリスマもすごい。その違いがプレイに出ています。

僕は音が綺麗に出ることや、全部の音を丁寧に弾くこと、そういうことに気を配る。無意識のうちにそれを目指している。しかし、それと正反対のことを目の前で見させられるわけです。悔しいけれど、そちらの方がいいなと感じる自分がいる。とても魅力的なんです。それに合わせて磨けるところを極限まで磨きたいと思って今、最後の仕上げをしているところです。

一緒にお仕事をさせていただいて思うのは、辻さんは優しさとカリスマにあふれる方だということです。真剣で、自由で。良い刺激をたくさんもたらしてくれる方なので、一緒に仕事ができて本当に光栄です。

お二人のユニット「2Gz」について、Hidèさんの考えを聞かせて。

辻さんがどう思われているかは置いておいて(笑)、僕自身は、辻さんのオリジナル曲をインスピレーションとして、作曲面でコラボをさせていただいている感覚を持っています。今回演奏させていただく曲の全てにおいて、僕自身のアイディアを入れさせてもらっているので、感謝の気持ちでいっぱいですね。おこがましい言い方ですが、新しい持ちコラボ曲ができたという感覚を持っています。

辻さんのファンの皆さんには、辻さんの曲に武本英之の要素が入っていることがわかるかもしれないですし、僕をフォローしてくれている人にとっては、僕に新しいコラボ曲が十数曲できたくらいの嬉しい報告になるのではと思っています。本当にありがたいです。

それは楽しみですね! どんなステージになりそう? 注目すべき点は?

辻さんのオリジナル曲を中心に、いくつか日本や英国に関連したカバー曲をやります。サウンドとしては、皆さんがこれまで体験したことのないものを想像していただければ ^^

僕自身、二人で生み出せる音の世界に魅了されています。2つのギターと魂のヴォーカルが合わさることによって生み出される唯一無二の何か。願わくば、辻さんのとんでもなく長いキャリアの中で奏でられた、どの音とも違う2Gz独自の音がこのロンドン公演で公式に誕生すればと思っています。世界の誰も(辻さんさえも)体験したことのない音、ですよね。

一曲目から、誰も想像できない音が飛び出してくるので、ぜひ楽しみにしていてください!

ワクワクしてきました! チケットはもう売り切れに近いと聞いています。

ロンドン公演のチケットはありがたいことに、ほぼ売り切れとなっています(当日券は出すようです)。前回の辻さんのロンドン・ライブ同様、日本から来られる方もいるようです。フランスからも来られる方も。僕のフォロワーの皆さんもきてくださると思うので、すごく楽しみです。

ロンドンの後も、2Gzの活動はある?

ロンドン・ライブがうまくいくことを前提に、と僕は思っていますが、6月末からフランスで行われる辻さんのミニ・ツアーに、僕も呼んでいただいています。最初がボルドー(6/28)、次にパリ(6/30)、リヨン(7/3)。9月末にはコルシカ島もご一緒させていただけるかもしれません。

将来的にHidèさんが思い描く2Gzは?

辻さんのお考えありきではありますが、一緒に曲をかけたら最高ですね! まだ決定はしていませんが、アルバムや動画も制作・配信できたらミュージシャン冥利に尽きると思っています。

ライブに来てくださる皆さんへ、メッセージをお願いします!

辻さんのギターと歌、僕のギターの3つの要素がともに奏でる魂のサウンドを、思う存分楽しんでほしいです。ぜひ皆さんの愛をください、ウォウオウ!w

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Hidèさん、最終調整中でお忙しい中、お時間をありがとうございました!

このインタビュー記事をまとめている最中、辻仁成さんの「プチ・引退」宣言が出て、世を賑わせている。こちらのJINSEI STORIESに、辻さんご本人の力強いメッセージが掲載されている。
https://www.designstoriesinc.com/jinsei/daily-4897/

これを拝読し、私は彼の思いに賛同すると同時に、「さらばニッポン、UK欧州コンニチハ!」のようにも聞こえ、ちょっと嬉しくなった。パリとロンドンを拠点にされているお二人、やっぱり地元でライブでしょ!^^  これは私たち欧州在住組も応援していかねば!

4月19日のライブで判明するとは思うのだが、2Gzのサウンドが世界クオリティであれば、確実に正しいダイレクションに向かっていると言えるのではなかろうか。

いやはや、今週金曜日が楽しみでならない。

・・・・・・

4月19日、ロンドン公演の情報はこちら:
The Water Rats
https://www.thewaterratsvenue.london
詳細&チケット
https://www.eventbrite.co.uk/e/2gz-tsuji-and-hide-live-japanese-music-in-london-tickets-790578039197?aff=oddtdtcreator

●6月30日、パリ「Le Zebre」
https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-paris-concert-le-zebre-30-juin-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301135.html

●7月3日、リヨン「La Marquise」
https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-lyon-concert-la-marquise-peniche-03-juillet-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301835.html

辻仁成さんの「JINSEI STORIES 」より
辻さんのロンドン公演へのメッセージ!!
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「きっと、また、ロンドンでも何か、出会いがあって、物語が生まれ、そこから新しいドラマが始まることであろう。まずは、ロンドンで燃え尽きてやろうじゃないの!
ギターが火をふく勢いで、ステージところせましと走り回って、最高のライブをやる予定である。いくぞ、ヒデ~。英国在住の皆さん、ぜひ、かけつけてほしい。
ボブディランの聖地、ザ・ウオーターラッツに日本のお父ちゃんが降臨します!!!」

2Gz
辻 仁成(Hitonari Tsuji)
作家。パリ在住。東京都出身。1985年、ロックバンド・ECHOESでデビュー。1989年、処女作『ピアニシモ』で第13回すばる文学賞を受賞し作家デビュー。代表作に『太陽待ち』、『サヨナライツカ』、『右岸』、『永遠者』、『不屈』、『日付変更線 The Date Line』(上・下)などがあり、1997年『海峡の光』で芥川賞を受賞。1999年に『白仏』でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など、文学以外の分野でも幅広く活動中。Design Stories主宰。
Design Stories:https://www.designstoriesinc.com
JINSEI STORIES:https://www.designstoriesinc.com/jinsei/

武本 英之(Hidè Takemoto)
ロンドンを拠点に活動するギタリスト。京都府出身。15歳の頃からエレキギターを始め、19歳の頃からクラッシック・ギターを藤井敬吾氏に師事。1999年からギルドホール音楽院 (Guildhall School of Music & Drama) で学び、奨学金を得てギルドホール音楽院のバチュラー(楽士)、演奏家ディプロマ、作曲家ディプロマを取得。音楽的バックグラウンドはインド、日本の伝統音楽、ポップ、ロック、ヘヴィ・メタルと幅広く、クラシック・ギターの新しい可能性を追求し続けている。作品に『SKY FLOWERS』、『FEATHERINGS』、津軽三味線とのコラボ『Four Springs』、Tim Hopkins氏とのコラボ『RED SHOES GREEN TEA]』など。
公式ウェブサイト:http://www.hideguitar.com
公式ブログ:https://www.absolute-london.co.uk/hide

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About Author

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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