からだが正常に機能するために必要な食べものは、車に例えると、純粋で良質のガソリンのようなもの。市場にはありとあらゆる食品が出回っているので、特に避けるべきものを中心に、食品のお話を連続して3号分予定しています。
現在のGMO事情
現在EU圏内では、人間の食品にはGMO(Genetically Modified Organism=遺伝子組み換えの生物)の使用を受け入れていませんが、家畜のえさには使われています。イギリスでは、大手スーパーが2013年に揃ってGMのえさで飼育された牛の製品を受け入れ始めたため、現在牛のえさは、なんと80%がアメリカまたはブラジルから輸入されているGMのトウモロコシと大豆。追って2014年にはGM飼育のチキンを受け入れ始めました(1)。恐ろしいことですが、オーガニックの肉、乳製品や鶏卵を選ばない限りは、ほぼ間違いなく間接的にGMOを摂取していることになっているのかも…。
牛に限らず、GMのえさを与えられている動物の体調不調は、消化器系の問題を中心に各種レポートされており、その害は明らかといえます。例えば、「BTコーン」と呼ばれるGMトウモロコシは、自然界に存在するバシラス系の病原菌(Bacillus Thuringiensisの頭文字を取ってBT)の遺伝子を組み込んだもの。その毒性は「BTトキシン」として知られ、それを食べた虫の胃や腸に穴をあけて殺します。そのためBTコーンは、自ら殺虫効果を発揮し、殺虫剤としても登録されているのです。そんなトウモロコシを食べたいと思う人は、どこにいるのでしょう?しかも、それを動物のえさにするなんて、何だか残酷です。
GMO反対派としての活動で知られる、ジェフリー・スミスのインタビュー(2014年)によると、カナダで行われた調査では、対象となった妊婦の93%、そしてそのうち80%の胎児の血液からBTトキシンが検出されているとのこと(2)。イギリスで牛のえさが80%GMなら、血中にBTトキシンが入り込んでいる人は、少なくないのかもしれません。
特にGMの植物は、WHOも発がん性の疑いを認めている(3)、グライフォセイトという薬品を使った除草剤「ラウンドアップ」など、特定の農薬とセットになっていることも問題です。遺伝子の組み換えやグライフォセイトなどの薬品が、わたしたちの健康に害を与えるだけではないことも、念頭に置くべきでしょう。GMOは自然の生態系を破壊し、いったん破壊が進むと、元には戻せなくなると言われています。GM化が進むアメリカでは、昨年ついにGMサーモンの市場進出が、FDAによって認可されました。法律も違う海の向こうとはいえ、この地球上で起きていることなので、今後が懸念されます。
(グライフォセイトやラウンドアップについては、次号で取りあげます。)
食品ではありませんが、BTトキシンを使ったGMの綿「BTコットン」も大きな問題のひとつ。コットン栽培の主な国インドでは、BTコットンに切り替えるとともに、体調不良を訴える人が増え、コットン自体も栽培不良が増えているようです。そのため農家の人が生活に行き詰り、自殺するケースが急増とか。ジェフリー・スミスが前述のインタビューで「その数は推測で25万人」と言っていました。半端ではない数です。
*ここで数年かけてもGMや農薬の話は紹介しきれないと思うので、GMについて詳しく知りたい人のために、参照部分にビデオのリンクもつけています。ご参考までに。
オーガニック食品
オーガニックの食品を「贅沢品」と思っている人がいるかもしれませんが、これを機に見方を変えてみては? 通常のものより値段は高くなりますが、逆にそうでないものがなぜ安いのかを考えていただきたいのです。GMとオーガニックのどちらかが与えられるとしたら、みんなオーガニックを選ぶと思います。もし毎日肉(ノン・オーガニック)を食べるという人がいれば、オーガニックに切り替え、週に数回、魚料理や野菜たっぷりのヴェジタリアン/ヴィーガンの食事を取り入れてみてはいかがでしょうか? 健康にもよく、環境のためにもなります。牛肉や乳製品を食べる人なら、オーガニックで(大豆やトウモロコシではなく)牧草育ちの牛から作られた製品を選ぶのがベストでしょう。
そう遠くない昔は、すべてがオーガニックでした。現在、市場に出回るオーガニックの野菜やくだものには、ある程度の農薬使用が許可されています。自給自足式で、チキンなどを飼い、有機・無農薬の野菜やくだものを栽培するのが理想的ですが、自分も含め、ほとんどの人にとって非現実的なこと。なので、地元のオーガニック・マーケットや、スーパーなどで買える市販のオーガニック商品を選ぶようにすることが、まず基本となります。しかし、ちょっと気になるのが、オーガニック農場の有機肥料。この有機肥料自体がGMのえさを食べている動物由来かもしれず、オーガニックの土壌がGMOで汚染されはじめているかも?という怖い話も最近ちらりと耳にしました。まだまだ安心しきれない点がいくつかあるので、さらなる調査の余地がありそうです。最新情報を入手したら、追ってアップデートしたいと思います。安全性については、誰が育てて(作って)どこから来ているかを知ることも、有効な手だてのひとつです。
消費者としての心得
食事は毎日欠かせないので、まずは安全な食べものを選びたいものです。同時に、自分の買う物が、その商品を作っている人や会社をサポートすることにもなります(購入=その商品に一票投票していると考えてください)。みんなが意識的にノンGMやオーガニック食品を選ぶようになれば、業者は売れるものを提供しようとするため、時間はかかるかもしれませんが、GM飼育の動物は減り、もっとオーガニック商品を取り扱うようになります。生産が増えれば、価格面でも手に入れやすくなるはず。そしてこれは、自分たちの買い物の都合や安全性だけではなく、地球と地球上の生き物すべての将来に大きく関わることなのです。お買い物の際には、「購入=その商品に一票」を思い出してくださいね。
参照:
- Fernandez C. (2016). Most meat is tainted by GM: Cattle are routinely given modified feed, shoppers told – and it’s even in your Big Mac. The Daily Mail. [Online] Available at: http://www.dailymail.co.uk/news/article-3461226/Most-supermarket-meat-tainted-GM-UK-animals-routinely-given-modified-feed-shoppers-told.html (Accessed: 02/05/2016)
- Underground Wellness. (2014). Podcast #304 Jeffrey Smith Interview: GMO Foods and Your Digestion. Podcast. [Online] Available at: http://undergroundwellness.com/?s=jeffrey+smith (Accessed: 05/12/2014)
- International Agency for Research on Cancer/WHO. (2015). Evaluation of five organophosphate insecticides and herbicides. IARC Monographs Volume 112.
お勧めビデオ
https://www.youtube.com/watch?v=m-WUsaASEkc (“Seeds of Death” by Gary Null)
https://gmoawareness.org/2012/09/08/genetic-roulette-movie/ (“Genetic Roulette” by Jeffrey Smith)
2件のコメント
さっそくのコメントありがとうございます!ジェフリー・スミスのドキュメンタリー映画は日本語版もあるのですね。GMOとそのまわりにある問題は、とてつもない規模で広がっているので、ひとりでも多くの人が前向きに取り組んで、より安全なものが市場に出回るようになってほしいものです。。。
とてもタイムリーな話題ですね。先日、ジェフリー・スミス氏によるドキュメンタリー映画『遺伝子組み換えルーレット 私たちの生命ギャンブル』を観る機会がありました。とても考えさせられる内容で、もっと多くの方にこういう事実を知ってもらいたいと思ったのです。豆腐製品を多く食べる日本はこれからTPPでもっと大変なことになっちゃうのかも・・・!?なんて、考えずにはいられない・・・・おっしゃる通り、消費者が賢くあらねば、です。