今回は、前回少し紹介したミニストップについて書いてみよう。
ミニストップとは、日頃なぽりんたちが働いているキッチンや食堂からかなり離れた場所にある、もう一つのカフェなのである。しかし、そこで毎日働くジェン以外は、ほぼ立ち寄ることのない謎のカフェ。ハーフタームおきに選ばれしスタッフがそこに送り込まれる。そしてジェンと共にそこで働くのである。
なぽりんも、仕事を始めた時にミスターCに連れられてチラッと覗いた事はあるものの、何が行われているのかはさっぱり分からない。
しかし! いよいよそのミニストップで働く事になった。
朝10時に出勤し、10時半までいつものキッチンで少しお手伝い。時間が来ると本日のケーキやクッキーの生地を持ってミニストップに移動。歩いて2〜3分、長〜い廊下やオフィス、美術室の横などを通って一旦外を歩き、スポーツグラウンドの横を抜けてミニストップに到着。
どうやらこの離れ的な建物、体育館とコンピューター室、体育教師の控え室とカフェで構成されているらしい。入り口入ってすぐ体育教師の控室があり、その奥反対側にカフェがある。
まず驚いたのは、この学校やたら体育教師が多い事。常に5〜6人の体育教師が控え室にひしめいている。通り過ぎがてら挨拶をしてみたが、恐ろしいぐらい大きな声で挨拶されるのであった。さすが体育会系!
おっ!なんとあの美青年も控え室で微笑んでいるではないか! ミニストップにいる間は毎日拝顔できる! なかなかいい環境なのであった。
初めての日、ジェンがいろいろ指導してくれた。
カフェでは主に、ソフトバゲットサンド的なものを数種類日替わりで販売。それとケーキやクッキーと飲み物類。そしてコーヒーやカフェオレ、ホットチョコレートなどが作れるマシーンがある。
ここでは毎日いるジェンのサンド作りの手伝いと販売、明日の分の補充や後片付けが主な仕事。なんかいい感じ!
みんなここで働く番が回ってくるのを待ち構えている。それはなぜか? ズバリ、向こうに比べると全てが小規模で仕事がラクラクだからである。
ジェンとは昼休みと仕事終了後の着替えの時間のみしか顔をあわせないので、ほとんど会話をしたことがない。しかし話をしてみると、とてもいい人で何でも親切に教えてくれる。
ブレイクタイムにレジをやってみたが全てのサンドは同じ値段だし、他の飲み物やケーキ類は全ての向こうのものと同じ値段。覚えるのはコーヒーやカフェオレなどのホットドリンクのみ。
窓から販売するため、生徒たちは窓の外にズラーッと並んで次々に並んでお目当てのサンドが売り切れる前に我先にとやって来る。正直、こっちのカフェがこんなに人気なのは知らなかった。揚げ物系やお肉系が多いので特に男子生徒に人気のご様子。あっと言う間にサンドは完売。
そして向こうのキッチンにはコーヒーなどは販売してないのだが、ホットチョコレートやコーヒーもかなり売れている。
これは数日後に気がついたのだが、なぽりんがレジをしているときはジェンがホットチョコレートやコーヒーなどを作って渡してくれる。
勘がいいのか、長年働いているからなのか? 大体売れそうな数を予測して作っておいてくれるのだが、それにしても素晴らしい勘! サンドもほぼピッタリくらいの量が売りさばける。そして、なぽりんが何かを取ろうとすると、サッと欲しいものを渡してくれたりもする。
「もしやこの人、サイキックなのでは…………」
ミニストップで働き出して1週間も過ぎた頃だろうか、思い切ってジェンに聞いてみた。
ちょっと冗談ぽく
「ねえ、ジェン。いつもコーヒーとか売れる前に予測して作ってくれるけど、いっつもほぼ当たってるよね? なんか予知能力とかあったりするの??」
「フフフ、偶然よ」と言いつつ、こう続ける。
「そういえばこの前……、衛生局の人が突然キッチンのチェックに来たんだけどね。急にその前に掃除したくなって綺麗にしてたのよ。だからここのキッチンは問題なしだったのよね〜」
「ほらほら!! ヤッパリ。絶対サイキックでしょ!」
ここまでくると何とか解明したいなぽりん。しばし食い下がってみる。
なぽりんがかなりスピリチュアル好きな事もアピール!
すると………
「ん〜そうね。少し霊感的なものはあるかもね。娘もそうなのよ。旦那は全く興味ないから話したことはないけど。降霊会にも行ったことがあるの」
やっぱりそうだったか! ただ者ではないと思ったら、なかなかの逸材であった。
しばらくの間ミニストップで楽しめそうな予感のなぽりんであった。
つづく